それでも気分は高専生

元高専生が自分のやってきたことを記事として残すためのてきとーなブログ

某経歴詐称は何故バレてしまったのかについての雑な調査と考察

TL;DR

多分これ

  • 検証しやすい (その項目ついて知識や調査方法をもつ人間の母数が多かった)
  • 正確に把握せず、周辺知識を混同していたまま嘘をついた

興味を持った理由

研究の進捗がない現実から逃げたかった、自分が嘘つくのが下手なので「今回の話を一般化すると何が悪かったんだろうねー」というのが気になった。

事件の概要

何が起きたかについては言わずもがな、まとめ記事を参照されたし。

enbeyond.com

何故バレたのか?

先に貼ったURLの「塚本廉 経歴・プロフィール詐称判明の経緯」において、公開されているスレから察するに

  • 東大の卒論論文集(?)に該当著者がいない
  • 高専経由でのルートであれば年数が合わない

といった点に疑問を持たれたのが塚本氏の輝かしい経歴崩壊のきっかけになってしまったのだと思われる。

この手の質問をしてくる輩は大体理論武装の理詰めで攻めることが多く、塚本氏はそれに対抗するだけの論理的に筋が通った嘘を用意できていなかったのだろう。

公衆の面前で平謝りか、人に暴露されるかといった選択肢に迫られたのだと思う。

自業自得とはいえ、心中お察しします...

何故疑問を持たれたのか?

東大の卒論論文集(?)に該当著者がいない

まず一つ目の指摘についてはどうか。

東大の学生人数ってかなり多いので、それこそ「簾」という名前の一人や二人ぐらい探せなかったのだろうか。

(或いは「親からつけてもらった名前が嫌で改名したやで」とでも言えばよかったのに....)

これくらいの方便、意識高い系カリスマとしてはいくらでも思いついたと思う、しかし想定と準備が足りなかったのだろう。

東大の図書館FAQによれば、卒業生や在学生、教員であれば卒業生のリストを見ることも可能であるし、学位論文も学科ごとの差異はあれど閲覧可能である。

opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp

そう考えると、この点に関しての敗因はおそらく次の通りになる。

  • そもそも卒論を残す(教員でなくても閲覧できる)大学のシステムを知らなった
  • 論文集を閲覧できる人 (攻撃できる人) の母数が多かった

高専経由でのルートであれば年数が合わない

次に二つ目の指摘について。

高専→日立→東大→大学院(24歳なう)」はおかしいとの指摘である。

高専(工業高等専門学校)は中学卒業後、高校と並ぶ進路として存在し、5年間かけて工業を中心に学ぶ学校である。

計算してみると

  • 高専 (15 ~ 20歳)
  • 日立 (20 ~ 21歳)
  • 東大 (21 ~ 25歳)
  • 大学院 (25歳 ~ )

となってしまい、確かに辻褄が合わない。

ちなみに編入学や3年次で大学受験してからの東大という道もあり得えるが、経歴からして一度日立製作所経由になっているため、このパターンもあり得ない。

しかし、「あのカリスマ塚本氏がこのようなミスを犯すだろうか?

私はその疑問を胸に、塚本氏の過去の記事を調べていくこととした。

本当に高専について言っているのか?

まず次の記事を読んでほしい。

tasukake.weban.jp

高専についての基礎知識があれば、塚本氏が高専について次のように言及していることに疑問が浮かぶはずだ。

  • 日立製作所直営の学校
  • 学費や寮費等一切お金がかからない
  • 赤点を2回連続でとると強制退学
  • 退学するとそれまでにもらっていたお金は一括で全額返済
  • 技能オリンピックというものにも出場

日立製作所直営の高専なんて聞いたことがないし、安いとはいえ学費や寮費もとられる、普通の大学と同様に留年や留年の限度年数はあるものの即退学などはない、技能オリンピックもなんとなく聞いたことはあるもののさして有名でもない。

流石に穴開けすぎてるやろ!平成28年度時点で全国に計57校(高等専門学校(高専)について:文部科学省)ある高専について、ここまでガバガバに嘘をつくのは流石に無謀だと考えた。

ひょっとして日専校?

ちなみに株式会社日立製作所 日立工業専修学校 (科学技術学園高等学校日立)、通称「日専校」というものがある。

www.hitachi.co.jp

なんとこの学校

  • 日立製作所直営
  • 工業技術が学べる
  • 学費や寮費が基本無料
  • 技能オリンピックで毎年のように入賞者を排出

なのである。

まさに「塚本氏が語る高専そのもの」ではないか?

更に加えると、日専校は3年制(その上に1年の専修科)であり、これで年齢と計算を合わせると

  • 日専校 (15 ~ 18歳)
  • 日立 (18 ~ 19歳)
  • 東大 (19 ~ 23歳)
  • 大学院 (23歳 ~ )

また専修科を含めてもギリギリ24歳在学はあり得る話である。

正直「高専」と「日専校」はややこしいかもしれないが、あまりに話が違いすぎるので致命的だ...

  • 赤点を2回連続でとると強制退学
  • 退学するとそれまでにもらっていたお金は一括で全額返済

このあたりはまた別の学校と混同させている節があるのではないかと思うが、調べるの疲れた...

以上より、二つ目の指摘「高専経由でのルートであれば年数が合わない」については

  • 高専と日専校がややこしすぎて混同した

が原因だと考えた。

総括

本記事では塚本氏がなぜ学歴詐称バレしてしまったのかについて、まとめサイト上に乗っている質問者の指摘事項をもとに調査を行い、何が綻びの原因となったのかについての考察を行った。

数年間、意識高い系学生の心を惹きつけてやまなった塚本氏、多くの講演やパネルディスカッションをこなしてきた彼の能力は疑問にすべきではないだろう。

その彼がなぜこのような綻びを作ってしまったかについては、私は以下のように考えた。

  • そもそも卒論を残す(教員でなくても閲覧できる)大学のシステムを知らなった
  • 論文集を閲覧できる人 (攻撃できる人) の母数が多かった
  • 高専と日専校がややこしすぎて混同した

これを一般化すると、長期にわたる嘘をつくには「周辺知識への十分な理解」「調査、指摘される可能性」「自分がきちんと理解し、混同せず使い分けできているか」といった要素について注意しなければ、塚本氏の二の舞になるぞということである。

あの塚本氏にすらそれができなかったのだ...やはり我々人類には嘘は早すぎた。

紗倉まな氏のように嘘をつかず、素直に生きていきたいものである...

(研究頑張ります...)